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ADC12について(切削編)

この記事ではADC12を切削する上での特徴や注意点を記事にし、これまでの弊社の体験した切削実績を基に綴らせて頂きます。
初心者の方でも取り入れ易いようになるべく噛み砕いて説明しています。是非、御覧ください。

ADC12の切削性と注意点について

切削性については結論から言うと非常に良い材料です。
この辺りも噛み砕いて説明すると別にダイカスト品だからと言って警戒する必要もなく一般的なアルミ合金と同様に切削しても問題無くサクサク削っていける印象です。エンドミルのカタログを拝見すると若干の切削条件に差を付けている事がありますね。参考にした方が工具寿命が伸びるかもしれませんが、特に気にしなくても削れますね!!
削った際に鋳造品ならではの大きな

注意点も2点紹介致します。

1:切削条件はこだわりが無ければ一般的なアルミ合金を削る条件でも削れるのですが、問題は刃持ちの部分です。鉄やステンレスの様にいきなり刃物が無くなって工具が折れるといった事はないのですが、擦り減っていくといったイメージが正しいかと思います。新品のエンドミルと見比べると一見ヘタリ無く加工が進んでいるように見えても切削中のワークに変化が見え始めます。大きく2パターンあると思っているのですが、『①切削面がザラザラしている。②切削面が凄く光る」が良く見受けられます。①と②で真逆の事を言っているように思えますが同じ刃物の消耗により起こってしまう事になります。ここも噛み砕いて解説致します。

①何故ザラザラしてしまうかは明白だと思いますが、刃の消耗による切削不良で面が綺麗に削れずにザラザラしてしまいます。因みにこれはボールエンドミルに良くある傾向です。

②それではなぜ面が光っているのに刃が消耗しているのかを解明してみようと思います。これはフラットエンドミルにある傾向なのですが、アルミくらいであれば多少の磨耗であれば削れてしまいます。しかし削れはするものの実際の刃物は切れておらず、面を磨く(擦る)様に削ってしまう為、鏡面磨きをした様に光ってしまうのです。これはADC12に問わず、アルミ加工特有のエンドミルが磨耗しているサインの様です。アルミの中でもADC12はその傾向が強いイメージの為、刃物の磨耗が激しいといった結論になりました。

もちろん目視でも刃物の磨耗を確認できます。(刃先が欠けていたり、白く光る)アルミは刃が切れなくなると熱を発して刃物にアルミがこびり付いてしまい、そのまま加工が進んでいくとワークが大変な事になるので磨耗が確認できた際はなるべく早く刃物の交換を行いましょう!!

2:もう一つはデメリットでも紹介させて頂いた「衝撃に弱く、欠けやすい」点です。特に気を付けないといけないのが『細く長い突起の様な形状』です。突起の様な形状で強度の弱い部分に対して突起より大きな工具で加工すると振動や負荷が強く発生し、製品が破損する理由になります。正直何の材料に対してもそうですし、アクリルみたいな欠け方はしないので普通に削る分には問題ありません。しかし、一般的に加工されているアルミ合金と同様の強度と認識して削ってしまうと突起が破損してしまう事があります。

以上が(切削編)になります。
ADC12について(性質編)も御座いますので、是非御覧ください。