試作品製作の鍵を握る“3DCAD”とは?
製作の現場でよく見る「3DCAD」という言葉。モノ作りとの関わりがなかったり、業界について詳しい方でなかったりすると、「3Dって映像のこと?」「CADって何?」と思うことも少なくないでしょう。しかし、製作側がどんな技術を使うか少しでも理解していれば、製作途中でも製品の完成イメージを抱きやすくなるかもしれません。以下では、製造過程で欠かせない3DCADについて解説します。
3DCADって何?
「3DCAD」とは何なのか、よく比べられる「2DCAD」との違いも交えながら解説していきましょう。まず「CAD」とは、“Computer Aided Design”を略したもので、「コンピュータ設計支援」という意味合いになります。つまり、コンピュータを使って設計・デザインを行うツールはすべて「CAD」なのです。
そして3DCADとは、コンピュータ上の仮想3D空間に製造物のデザインを作成するツールを指します。一方、2次元データの製図を行うのが「2DCAD」です。
2DCADには長い歴史があるものの、1990年代からは3DCADが急速に普及しました。以下では、両者の具体的な違いを見ていきます。
まず2DCADですが、これは「ドラフター」と呼ばれる製図用の台で作成された手書きの図面を電子化したもの。読み手は“平面”から“立体”を想像する必要があり、図面を読むだけでもそれなりの知識・経験を求められました。
一方の3DCADは、擬似3次元空間に立体モデルを構築していくため、製品イメージを縦と横だけでなく奥行きも含めて具体的かつ簡単に把握することができます。
また、3DCADなら製作に欠かせない「体積」「表面積」「質量」「重心」といった情報も簡単に得ることが可能。2DCADの場合、こうした情報を得るには図面を分解して計算する必要があります。分解したパーツごとに計算をしなければならないので、正確性に欠け、計算ミスが生じることも珍しくありません。しかし、3DCADであればボタンひとつで必要情報を導き出すことが可能。ミスも起こりにくく、計算にかかる時間も短縮できます。
なお、部品組付け後のチェックでも3DCADは活躍します。2DCADを用いた設計では、製品完成後に部品を組み立てたがうまく組み合わない――というミスが多々ありました。しかし3DCADでは、部品の組付けがうまくいくかどうか完成前に確認できます。そのため、「完成したと思ったのに組付けがうまくいかない……」という事態が起こりにくいのです。
3DCADのメリット
- 製品イメージをつかみやすい
- 正確な「体積」「表面積」「質量」「重心」がすぐにわかる
- 部品組付け後のイメージをしやすい
3DCADが可能にする、開発プロセスの“前倒し”
3DCADでは、2DCADでは難しかった「製品イメージの把握」や「必要な情報(体積、表面積、質量)などの正確な割り出し」が可能になります。
こうした3DCADの「わかりやすさ」や「正確さ」は開発プロセスの“前倒し”も可能にします。部品の組付けを事前に確認できたり、専門家でなくても図面を理解しやすかったりというメリットは、そのまま開発プロセスの時短化につながるのです。その結果、設計初期に時間をかけ、作業を前倒しで進める「フロントローディング」が実現します。
試作品製作に限らず、3DCADを活用することでこれまでにないスピードで技術革新が行われ、暮らしが豊かになっていくかもしれません。
しかしその一方で、3DCADを活用するには、技術への“投資”も必要になるでしょう。現在では導入しやすい価格帯のソフトも増えており、3DCADの導入ハードルが下がっているのも事実です。しかし、現場の負担を軽減し、なおかつ期待に応えられるような技術を実現するためには、やはり“プロ”の腕が必要とされるでしょう。
3DCADは“サポート体制”が重要
スピーディーな開発と、精巧な製品イメージを作り出せる3DCAD。まだ世に出ていない試作品を正確かつ迅速に製作するには3DCADの技術が大いに役立つでしょう。しかし、3DCADの活用には優れた技術力が必要になるもの事実です。
アートウインズでは、意匠デザイン作成・製品設計・3次元モデリングデータ修正等のサポートを展開。データ作成サービスにおいては、お客様から図面データを預かったあと3次元製品データに変換し納入することが可能です。
難易度がより高い設計案件では、専門知識を有するチームを編成し、スピーディーに案件を遂行します。3DCADをはじめ最新技術を用いた試作品製作はぜひアートウインズにお任せください。